研究概要 |
産業廃棄物からの非加熱処理による有価金属の高回収プロセスの開発を目的として、高エネルギーミルであるコンバージミルを用いて、いくつかの有価金属を含む素材に対してメカノケミカル(MC)処理を施し、処理粉末の酸溶解特性を調べた。酸化インジウム・酸化スズ(ITO)ガラスでは、2~20minの短時間のMC処理粉末において、塩酸および硝酸濃度が低い2.5mol/dm3の酸溶解処理(常温、30min)でも80%以上のIn溶出率が得られた。一方、希土類を含むNd系およびSm系磁石では、MC処理による粒子径の大きさとNd,Sm溶出率との関係は見られなかったが、代表的な高エネルギーミルである遊星ボールミルと比較して、希土類溶出率に差異が見られた。Nd系磁石では硝酸濃度5mol/dm3以上で80%以上のNd溶出率(常温,24h)が、Sm系磁石では硝酸濃度0.5mol/dm3以上で80%以上のSm溶出率(常温,2h)が得られた。また、MC未処理試料では、同溶解条件においても最大で40%以下であり、コンバージミルによるメカノケミカル処理の優位性を示すことができた。
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