研究概要 |
低濃度一酸化炭素の酸化反応は、燃料電池の燃料である水素中に含まれる微量の一酸化炭素による白金電極の被毒を防ぐために重要である。本研究では、連携研究者である産業技術総合研究所ユビキタスエネルギー研究部門との共同研究において合成された新規多孔質金属配位高分子(MOF)について、低濃度一酸化炭素の酸化反応の触媒として評価を行った。低濃度一酸化炭素の酸化反応には、本研究室で昨年度構築した流通系触媒活性評価装置を用いた。亜鉛を核とするMOFに貴金属を配置した触媒では、一酸化炭素の酸化反応は175℃において100%の転化率が得られ、銅を核とするMOFでは、200℃で100%の転化率が得られるなど触媒として高く評価された。これらの詳細については、すでにChemical Communicationにおいて発表し、その他2,3報を雑誌上で発表する予定である。 一方、高水素含有化合物の脱水素化反応は、ポータブル燃料電池用水素源を確保するための技術であり、小型家電に用いる燃料電池を普及するためには、大掛かりな供給源ではなく小型で不純物が少ない水素を供給する技術の開発が必要である。本研究室では、アンモニアボランなどの高水素含有化合物の脱水素化反応について、現在パラジウム、銀などのナノ粒子を触媒として研究を進めており、ガスビュレットを使用した反応装置を作成し、発生する水素を測定した。その結果、パラジウム及び銀と他金属との混合触媒によって化合物中の水素が高効率に放出されることを見出し、日本化学会第92春季年会において報告した。
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