本年度は「金属配位高分子を担体とする機能性金属ナノ粒子触媒の研究を総括した。市販のMOFに物理混合、含浸法などを用いてMOF担持金属ナノ粒子触媒を作製し、本研究室既存の流通系触媒活性評価装置によって低濃度一酸化炭素の酸化反応における触媒活性の評価を行ったが、触媒活性は芳しくなかった。また、連携研究者である産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門の研究室で作成されたMOF担持金属ナノ粒子触媒についても低濃度一酸化炭素の酸化反応における触媒活性の評価を行った。その結果、当研究室で考案された「二溶媒法」で作成されたMOF担持金属ナノ粒子触媒から低濃度一酸化炭素の酸化反応に高い活性が得られたので、アメリカ化学会誌に報告した。この方法は簡便かつ高効率な触媒が得られるので、今後の触媒調製に有効であると考え研究所へ出向して、そのノウハウを習得した。さらに、今後MOFに置き換わる可能性を持つ材料であるシリカナノスフェアーの作成方法についても習得した。MOFは金属間の架橋配位子が有機物であったため、高温の触媒反応には使えない難点があったが、シリカナノスフェアーは骨格がシリカであるため、かなりの高温でも使用温度できる利点がある。このシリカナノスフェアーに金属ナノ粒子を担持した触媒を、本研究室において低濃度一酸化炭素の酸化反応における触媒活性の評価を行った結果、高活性が得られたのでこれらも報告した。その他、金属ナノ粒子触媒による水素発生反応では、パラジウムとニッケルのナノ粒子触媒について検討した結果、単体ではニッケルよりもパラジウムの方が、同じ条件での水素発生反応における反応収束時間は短かったが、ごく少量のパラジウムを添加したニッケルナノ粒子触媒は、水素発生反応における反応収束時間がパラジウム単体とほぼ同じであった。これは貴金属使用低減に繋がる発見として、今後さらに調査していく予定である。
|