研究概要 |
本研究では、機能性リン脂質として期待されているホスファチジルイノシトール(PI)の位置異性体選択的な酵素合成を行うべく、現有するPI合成型PLDの位置特異性ならびに耐熱性の向上を試みた。現有する改変PLDのうち1-PI選択性の高いNYR型変異PLDのイノシトールの結合ポケットの「壁」を形成しているループ、すなわちG186,K188, D188及びD190を他の19種のアミノ酸に置換した変異酵素を部位特異的変異導入により一つずつ作製し、大腸菌で発現後、PI合成反応を行い、生成したPIの異性体組成を分析することで、酵素の特異性を評価した。その結果、G186とD188への変異が有効であり、特にG186のより嵩高い残基への置換により1-PI特異性を改善することに成功した。また、DYR型変異PLDに対し、B-ファクターの大きな残基にランダム変異を導入し、大腸菌で発現後、熱処理後の残存活性を指標にハイスループットスクリーニングを行ったところ、耐熱性の向上した変異PLDを獲得することに成功した。
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