研究課題/領域番号 |
22560771
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
中西 一弘 中部大学, 応用生物学部, 教授 (90026584)
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キーワード | 構造制御固定化法 / 親和性ペプチドタグ / 固定化酵素 / シリカゲル |
研究概要 |
本年度の研究では、昨年度に見出したSiO_2表面親和性プチド(Silica-tag)を連結した酵素を多孔性シリカ粒子に固定化し、その固定化特性及び反応特性を調べることを目的とした。Bacillus circulans起源のβ-galactosidaseの精製に時間を取られたために、固定化対象酵素として以前に精製方法を確立したAspergilu niger由来のβ-glucosidase(J.Biosci.Bioeng.,110,281-287(2010))を用いた。先ず、前年度に検討した複数のSiO_2親和性ペプチドと多孔性シリカゲルの種類と酵素の固定化量の関係について調べた。その結果、親和性ペプチドとしてGLS5-16を用い、市販多孔性シリカ粒子Fractosil 500に固定化した場合に、β-glucosidaseの固定化量が最大となった。この結果は、親和性ペプチドを付与しない酵素を用いた結果の2.5倍以上であった。GLS5-16をグルタルアルデヒドを介して化学的にβ-glucosidaseに結合した固定化酵素を用いると、少なくとも5回以上の繰り返し反応後も活性の低下はみられなかった。一方、ペプチドタグを連結していない酵素を用いた場合は、3回目で活性が半減した。これらの結果は、親和性ペプチドタグの有用性を示唆するものである。一方、Bacillus circulans起源の複数のβ-galactosidaseの精製方法の確立を行った。今後、C-末端にペプチドタグを連結した変異酵素の調製と固定化を行い酵素の固定化特性を調べる必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野生酵素の精製とタグ付き変異酵素作成の準備に予定していた以上の時間を要したこと、並びに平成23年4月に以前に勤務していた大学から転勤した新任地でのスタートアップに予想以上の時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究では、シリカゲルに特異的親和性を示すペプチドをタグとして用いて検討を行った。親和性タグを用いる酵素の固定化法における最も重要な特性は付着力の強さであるので、他の親和性ペプチドを用いた結果と比較する必要がある。最後の年は、以前の研究(J.Biotechnol.,127,288(2007))においてELISA法に使用していた親水性ポリスチレン親和性ペプチドをタグとして用い、担体としてはポリスチレン表面を用いて検討することを考えている。
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