研究課題/領域番号 |
22560775
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
江頭 直義 県立広島大学, 生命環境学部, 教授 (90094060)
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研究分担者 |
西本 潤 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (80253582)
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キーワード | インフルエンザウイルス / 電解発光 / 迅速判定 / ルテニウム錯体 / ヘマグルチニン / イムノリポソーム |
研究概要 |
(1)インフルエンザウイルス試料の測定:初期のヘマグルチニンペブチドを固定化した電極とルテニウム錯体内包イムノリポソームを使用し、抗原抗体反応後、リン酸緩衝液で洗浄した。続いて界面活性剤を添加し、直ちに電解発光を測定した。それより、数1000pfu/mLインフルエンザウイルスを90分で測定する条件を見出した。測定条件の探索により、測定時間のさらなる短縮が可能であると期待される。 (2)イムノリポソームの改良:幾つかの脂質材料を使用したリポソームを調製し、ルテニウム錯体の内包率を調べた。アニオン性脂質の添加により内包率の著しい向上が認められたが、バックグランド発光の低下には繋がらなかった。内包溶液の検討によりさらなる内包率の向上が期待される。 (3)新規ルテニウム錯体の合成:3段階の反応により親水性の側鎖を導入した錯体を2種類合成し、NMRおよびIRによりその構造を確認した。これらの錯体をリポソームに内包させ、HPLCで内包率を評価した。それらの内包率は、これまでのルテニウム錯体よりも大きな値であった。一方、合成した錯体自身の発光強度は弱かったので、ウイルス検出の感度向上には至らなかった。 (4)感度向上の検討:金電極表面に金微粒子を析出させて表面積を増加させることに成功した。さらに、犠牲分子を探索し、従来のトリエチルアミンよりも強い電解発光を引き起こす新規アミンを見出した。これらの知見を活用してさらなる感度向上を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフルエンザウイルスの測定についてはほぼ当初の計画どおり進んでいるが、吸着機構の解明については今後検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
電解発光の検出を安定化させるには、バックグランドシグナル(BGS)の低減化が重要である。原因として金電極表面の不完全なSAM形成あるいはリポソームの電極面への吸着が推測される。それらに対応する条件を検討することによりBGSを低減し、インフルエンザウイルスの高感度検出を実施する予定である。
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