研究課題
当該年度は、花粉症治療のための核酸医薬として有望なCpG ODN(メチル化されていないGC配列を含むオリゴDNA)を分解させずに樹状細胞内のToll-like receptor 9 (TLR9)に運搬し、かつ徐放するためのドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を目的として研究を行った。表面をアミノ基で修飾したメソ細孔シリカSBA-NH2ナノ粒子を合成し、CpG ODNを吸着させた。さらに、この粒子をポリカチオンであるpoly (allylamine hydrochloride) (PAH)でコートしたSBA-CpG ODN-PAH complexesを作製した。この粒子に吸着したCpG ODNは血清中の核酸酵素に対して耐性であり、安定にCpG ODNを運搬できることが明らかとなった。また、このcomplexesを293XL-hTLR9細胞に作用させたところ、細胞内に取り込まれ、TLR9を活性化し、CpG ODNをそのまま作用させたときに比べ約3倍の活性が認められた。このメソ細孔シリカSBA-CpG ODN-PAH complexesには細胞毒性はなく、核酸医薬のデリバリー粒子として十分に機能できることを証明した。メソ細孔シリカSBA-CpG ODN-PAH complexesと並行して、窒化ホウ素ナノ粒子を合成し、その表面にCpG ODNを吸着させ、293XL-hTLR9細胞のTLR9活性化を調べたところ、CpG ODNをそのまま作用させたときに比べ約5倍の活性が認められた。
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The Journal of Physical Chemistry
巻: 115 ページ: 447-452
Journal of Materials Chemistry
巻: (In press)