研究課題
昨年度までの研究において、CpG ODNによるTLR9を介したサイトカイン誘導プロファイルは、ナノ粒子への結合状態によって変化すことを見出した。これは、TLR9活性化のための核酸医薬の開発は、ナノ粒子と一体で行う必要があることを示唆している。そこで当該年度は、様々なオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)をナノ粒子に搭載し、ODNの塩基配列とTLR9を介したサイトカイン誘導能の関係について調べた。その結果、ナノ粒子-ODN複合体を高濃度で抹消血単核細胞に与えると、ナノ粒子にどのような塩基配列のODNを静電的に結合させてもTLR9を介したサイトカイン誘導が起こることを見出した。これまで、TLR9はDNAのCpGを認識すると考えられていたが、この結果は、ナノ粒子-ODN複合体が高濃度で存在するとTLR9活性化にはCpGは必要ないことを示している。しかしながら、ナノ粒子-ODN複合体が低濃度のときは、CpGを含むナノ粒子-ODN複合体のみからサイトカイン誘導が観察された。これらの結果は、TLR9のCpG認識は、ODN濃度に依存することを示唆している。このCpGに依存しないTLR9活性化がナノ粒子と複合体を形成したときに特有の現象であるのか、あるいは、遊離のODNにおいても濃度を高くすることによってCpGに依存しないTLR9活性化が起こるかは不明である。遊離のODNは細胞への取り込み効率がナノ粒子と複合体を形成したときに比べて低いため、遊離の状態で細胞内のODN濃度を高める取り込み方法の工夫が必要である。ナノ粒子との複合体形成によって、TLR9のODN認識機構は遊離のODNを認識する場合と異なっていることが示唆される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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