当該研究の最終年度である平成25年度は、全期間の研究成果を踏まえて、データ駆動型の人工衛星テレメトリ監視システムの構築とその検証実験を実施した。構築したシステムには、本研究課題の4つのサブテーマ、すなわち、(1)テレメトリデータへのアクセス方法の体系化、(2)テレメトリデータの監視方法の体系化、(3)テレメトリデータからの知識発見方法の体系化、(4)テレメトリデータと他情報源との連携方法の体系化、それぞれの成果と知見が反映されている。例えば、各種の物理量の計測値から構成される連続的な変量と、例えば機器状態のOn-Offなどの状態(ステータス)を表す離散的な変量を統一的に扱えるようになっているが、これは(1)の「アクセスの体系化」の成果と言える。また、各変量ごとの再構成誤差や異常度への寄与度を計算し、視覚化することによって、人工衛星運用者に対して有用な情報を提供できることを実験的に実証した。これは(3)の「知識発見方法の体系化」の成果の一つである。さらに、本研究の重要な成果として、異なる期間や異なる変量集合のデータに対して学習したモデルの集合を保存しておき、新しいデータに対して並列的あるいは選択的に適用することによってより確度の高い健康状態監視を行う「モデルライブラリ」の概念を創出した。 これらの成果は国内外の学会等で発表されている。また、今回の研究成果は、次年度以降の新課題にも継承され発展される見込みである。
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