研究課題/領域番号 |
22560781
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
池田 忠繁 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40273271)
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研究分担者 |
上田 哲彦 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10358682)
仙場 淳彦 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (60432019)
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キーワード | 複合材料・物性 / 構造・機能材料 / 航空宇宙工学 / 機械力学・制御 / スマート材料構造システム |
研究概要 |
前年度、刺しゅうにより複合材の強度が低下することが観察された。刺しゅう針が繊維束を貫通することで、繊維自体が傷つくことや繊維間に隙間が生じることが原因と考えられるので、顕微鏡観察、針や糸の種類を変えるなどし、その原因を調べた。炭素繊維平織材にチドリスティッチで糸を刺しゅうし、それにエポキシ樹脂を含浸させることで試験材料を製作した。直径0.80mmの針でポリエステル糸をチドリスティッチ長さmm、スティッチ間隔4mmで刺しゅうした試験片を基準とし、刺しゅう針の直径を0.66mmから1.05mm、糸の種類をポリエステル、細いポリエステル、綿、ナイロン、ケブラー、チドリスティッチ長さを3、6、12mm、スティッチ間隔を2、4、8mmに変化させた試験片も製作し、圧縮、引張強度を調べた。その結果、試験したパラメータの範囲では、直径0.9mm以下の針では繊維に与える損傷は少なく複合材強度の低下は小さく、糸は種類よりも直径が細い糸を用いた方が複合材強度が強く、チドリスティッチ長さは12mm、スティッチ間隔は8mmで強度が最大値となることが分かった。この結果は、今後の繊維束最適配置設計や層間はく離を防ぐためのスティッチングに応用できる。 昨年構築した最適設計手法を用いて、固有振動数が目的に対して最適になるように繊維束を配置する手法を構築し、振動数制御へ応用した。ここでは、片持ち長方形板に対し、1次と2次の固有振動数の差が最大となるように目的関数を設定し、繊維の最適配置を求めた。また、刺しゅうされた試験片の材料定数の計測法を検討した。現在、材料定数の計測、実験による最適配置設計効果の検証を行っている。 スマート材料に関しては、形状記憶ポリマー基材に、形状記憶ポリマー糸で炭素繊維を縫い付ける試験を準備している。 実構造部材は基本的に殻構造なので、曲率の小さい構造に関しては型への押しつけ、曲率の大きい部分を有する構造に関しては展開した平面材を製作することを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スマート材料の扱い、最適スティッチの決定などまだ検討中の部分もあるが、作業目標はほぼ達成した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)刺しゅうされた試験片の材料定数の計測、振動数制御最適配置の検証実験を行う。(2)形状記憶ポリマーや形状記憶合金などを組み合わせた多機能複合材料の設計、製作、実証試験を行う。(3)刺しゅう技術により多機能化する上の問題点を抽出する。
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