研究課題
本研究は,発生トルクの増大化による高速姿勢変更・高精度姿勢追従を可能とするジンバル駆動則の開発・実験検証を目的としている.本年度は,後半部である高精度姿勢変更を実現・検証するために次の3つのことを行った.(1)ゲインスケジューリング駆動則の考案:スキュー角可動範囲を考慮せずに従来駆動則から単純に拡張した駆動則でもってスキュー角を駆動すると,スキュー角可動範囲を無視した駆動指令が出力され,結果として指令トルクと発生トルクとの間に大きな差が生じ,大きな姿勢誤差が発生する.これを防ぐために,可動制限近くになるにつれ,スキュー角に頼らず,従来のジンバル駆動に重みを置いた駆動則に変化するよう,スキュー角に応じて重み行列が変化する方法を考案し,平均5%程度の姿勢変更時間の短縮化,滑らかなスキュー角の変更,姿勢整定時のオーバーシュート量の低減といった成果を得た.(2)CMGとRWとの滑らかな切替え駆動則の考案:CMGホイールの速度を可変にしたVSCMGはCMGとRWの両方の機能を有し,RWは細かい姿勢制御に適している.そこで,姿勢変更完了近くでRW機能が確実に作動する駆動則を考案し,CMGからRWへ滑らかに切替わることを確認した.また,実験装置のホイール回転速度応答特性の計測を行い,その特性をシミュレータに組み込み実験装置の応答に近づけた.(3)柔軟梁搭載宇宙機シミュレータの作成,柔軟梁振動の無線計測装置の作成,計測検証:CMGは柔軟物を有する大型宇宙機に搭載されることが多く,柔軟物の振動が姿勢と干渉する.この姿勢変動を計算するためのシミュレータを製作した.また,柔軟物を模したアルミ梁に歪ゲージを装着し,その振動をアンプ,H8マイコン,ブルーツゥース経由にて計測できる装置を製作,実験装置に搭載し,振動と姿勢の干渉を無線で計測できるようにし,制御性能を評価出来るようにした.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Elsevier, Acta Astronautica
巻: Vol.85 ページ: 120-137
DOI:10.1016/j.actaastro.2012.12.019
巻: Vol.84 ページ: 88-98
DOI:10.1016/j.actaastro.2012.07.035