研究概要 |
本研究は,冷凍空調分野でまだ十分な伝熱実験が行われていない炭素(HC)系冷媒,細管(管内径3mm~4mm程度)と船舶機関からの低温廃熱回収に利用可能な新型高効率プレート式熱交換器を用いて,凝縮・蒸発伝熱特性および圧力損失について実験を行い,冷凍空調機器や船舶機関システムへ適用可能な熱交換器の熱的設計,高性能化に資する知見を得ることを目的としている.2年目の本年度は,R410A冷媒および低GWP次世代冷媒に転換する過程での候補冷媒の一つであるR32の平滑細管・溝付細管の凝縮実験データの取得を行い,本実験(再現性の確認を含む)で平滑細管および1種類の溝付細管の凝縮熱伝達特性および圧力損失について実験・解析を行った.その結果,冷媒等の相違,これまでに提案した熱伝達および圧力損失の予測式の適用可否,新たな圧力損失・凝縮熱伝達の予測式を提案し,以下の事項を明確にした. 1、4mm細径溝付管の局所熱伝達係数は,平滑管より約1.2~2倍大きな値を示した.また,R410AおよびR32の4mm細径溝付管のは,外径6.35mm溝付管よりも高い値を示した. 2、R410A,R32いずれの冷媒においても,4mm細径溝付管は低質量速度で内面溝が伝熱促進に有効である. 3、4mm細径溝付管の圧力損失は,平滑管より約2倍大きな値を示した.R32の圧力損失は,低質量速度ではR410Aよりほぼ同じ値を示し,高質量速度ではR410Aより高い値を示した. 4、4mm細径平滑管および溝付管に適用できる冷媒R410A,R32の凝縮における圧力損失および凝縮熱伝達係数の相関式を提案した.
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