研究課題/領域番号 |
22560791
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 隆一 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (20093544)
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キーワード | 船舶保全 / 船員の聴覚 / 機関音の聴取 / 統計解析 / 点検作業 |
研究概要 |
わが国の海運界で顕在化しつつある日本人船員の質的・量的不足に対処するために、次世代の優れた船員を確保することが緊急の課題されている。安全運航を支える技術力の確保とその伝承の観点から将来に不安を残しており、船員の技術力向上の必要性がある。しかし、海技の習得には長い年月が必要となる上に団塊の世代後の技能伝承が危惧され、その対応策が強く求められている。このような社会的背景の下に機関員の熟練技能育成問題に応えるべく取り組んでいる研究である。機関員の保全業務の一つに聴覚や触覚などの感覚器官による点検作業がある。この業務では機関員が巡回点検時に受けた音や振動を過去に記憶したものと較べて判定しているが、判定基準となる過去の記憶は個人差がある上に曖昧さがあり正確性に欠けるため機関員に正確な情報を与えて感覚記憶を補完する保全支援システムが必要である。 平成22年度は保全データベースの基礎的な構築を行った。具体的にはディーゼル機関を連続運転しながらその放射音と振動を長期間に渡って採取し、その間のデータを分析することにより正常テンプレートを作成した。運転状況の変更パラメータとして、弁間隙量を取り上げ、人為的に基準値±0.2mmの範囲内で変更して実験して統計解析を行った結果、基準値から外れた場合は異常と検出することができ判定アルゴリズムの構築ができた。 平成23年度は運転状況の変更パラメータとして、燃料弁の噴射圧を取り上げ、80kg/cm^2~210kg/cm^2のレンジで変更することにより、異常音と異常振動のテンプレートを作成した。さらに本年度は統計解析のデータベースの他に感覚量として機関員に提示するためのアナログデータベースを構築した。これは熟練技能のテンプレート化で正常時の感覚量を格納しておき、必要に応じて船舶機関室の現場で機関員に過去の感覚記憶を再現するためのものである。この再生に当たっては、放射音と機械振動を現場で感じ取るためのハードウェアとそれを実現するためのアルゴリズムが必要となるので、現在それを開発しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機関音と振動のデータベースの構築に当たっては、データ数が多いほど信頼性が向上するため、現在も実験を引き続き行っているので実験の完了には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在、進めている実験データを整理して保全データベースを構築すると共に、機関室の現場で機関員が統計解析から現在の機関の状況が正常範囲か異常状態になったのかを放置するシステムと、同時に現場で過去の感覚記憶力を再現して現状と比較することにより機関員に熟練技能を会得する熟練技能育成システムを一体化した保全支援システムを完成させる。
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