研究概要 |
海陸複合管理体制下の船舶機関管理において,機関故障事故の背景要因や原因は複雑であり,潜在的な不安全状態や故障や事故として顕在化した事象の集約と分析による情報共有を図り,船舶運航管理現場におけるさらなる安全技術向上の方策を導くことが,本研究の最終目標である。 研究初年度である平成22年度の活動目標は,フィールド調査を中心とした船舶機関管理の現場におけるインシデント情報の収集・分析による実情把握,不安全行動や不安全環境の背景要因の分析,インシデントの発生状況を船舶機関運転管理ソフトの活用により再現を試みることであったが,研究実績は以下の通りである。 1.船舶機関管理現場の実情調査 日本船舶機関士協会の協力を得て機関の故障・損傷データの収集を行い,船上の機関管理現場における異常発見方法と異常が運航に与える影響との相関に注目して船舶機関の故障・損傷データの分析を進めている。分析過程において陸上の船舶機関管理支援が与える影響の把握を図り,陸上支援組織の実情調査について準備を進めている。 2.インシデント情報の収集と模擬再現の検討・準備 平成21年3月に本学に設置された舶用機関プラントシミュレーター(MEPS)を活用して,船舶機関管理の実環境を再現した環境における人間要因の把握と分析を実施するため,シナリオの検討など準備を進めている。 本年度の研究活動の一部は大学院および学部学生の研究として取り組み,研究成果の一部は,日本マリンエンジニアリング学会第80回学術講演会(2010.8.)で講演報告済みであると共に,同第81回学術講演会(2011.5.)で講演報告する。
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