研究概要 |
本研究では,船舶特有の環境における人間や組織を含むシステムに関わる人間要因について,不安全状態あるいは故障や事故として顕在化した事象に与える影響を分析評価することを目的の一つとしている。研究2年目の平成23年度の目標は,インシデント情報の分析,舶用機関プラントシミュレーター(MEPS)を活用した実環境の模擬再現準備および模擬再現環境下における人間特性の把握であった。研究実績は以下の通りである。 1.実環境下における人間要因の分類定義とインシデント情報の分析 日本船舶機関士協会の協力により得た機関の故障・損傷データについて,船上の機関管理現場における異常発見方法と異常が運航に与える影響との相関に注目して船舶機関の故障・損傷データの分析を行い,インシデントと人間要因の内容に関する相関を統計的に捉えた。 2.舶用機関プラントシミュレーター(MEPS)による実環境の模擬再現 船舶機関管理の実環境を実験室で模擬再現するため,本学に設置されている舶用機関プラントシミュレーター(MEPS)活用の可能性を検討し,MEPSシナリオ開発を進めている。 3.実環境の模擬再現下における人間反応計測の準備 インシデント情報の分析によって,当直機関士の見回りなどにおける人間の五感による異常検知が重大故障回避のために重要であることが明確に得られたので,五感の内,目視認識に注目した人間反応計測を,MEPSシナリオ環境下で実施する準備を進めている。 本年度の研究活動の一部は大学院および学部学生の研究として取り組み,研究成果の一部は,日本マリンエンジニアリング学会第81回学術講演会(2011.5.),他で講演報告済みである。
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