研究概要 |
海洋温度差発電は,海洋の表層の25~30[℃]の温水と深層の3~5[℃]の冷水との温度差を利用して発電する.本研究では,インターネット技術を利用して海洋温度差発電プラントを遠隔監視・操作・制御するシステムを開発することを目的とする.平成23年度は,海洋温度差発電プラントの遠隔操作システムの開発,計算機シミュレータの開発,および,ロボットアームを利用した遠隔操作システムの開発を行った.さらに,海洋温度差発電実験装置の気液分離器の液位制御に関しての検討も行った.海洋温度差発電の遠隔操作システムにおいては,平成22年度に実施した遠隔監視システムを発展させ,海洋温度差発電実験装置で採用されているわOPC (OLE for Process Control)サーバにOPCクライアントを接続させることで,プラントの内部状態を取得すると同時に,海洋温度差発電実験装置の操作量である,温海水流量をインターネット経由で遠隔地から操作できることを確認した.計算機シミュレータの開発においては,平成22年度に開発したシミュレータにユーザーインターフェースを実装し,計算機シミュレータの動作状況の監視と操作量の入力を,利用者が容易に行うことができるようになった.制御盤を物理的に遠隔地から操作する遠隔操作に関しては,ロボットアームの遠隔操作とビジュアルサーボと組み合わせることによって,ネットワーク経由でロボットアームを用いたボタン押し動作を行うことができることを確認した.さらに,ロボットァームで操作する目標値をマウスドラッグで任意に与えることを可能とした.海洋温度差発電プラントの制御においては,プラントの安定した運転を行う際に重要となる,気液分離器の液位を一定に保つための制御について検討し,制御器を実装するために,海洋温度差発電実験装置の改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度の研究実施計画で上げていた,海洋温度差発電プラントの操作量(温海水流量)を遠隔地から操作する遠隔操作の実現,ロボットアームを利用してプラント制御盤のスイッチやボタン等を操作する遠隔操作システムを用いたボタン押し動作の実現,さらに,計算機シミュレータのユーザーインターフェースの作成と,いずれの項目についても,ほぼ予定通り実施することができたため,おおむね順調に進展していると判断される.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度中に海洋温度差発電実験装置に問題が発生し,OPCを用いた遠隔監視・遠隔操作を行うことができなくなったため,平成24年度は,遠隔監視・遠隔操作・遠隔制御を行う対象として,海洋温度差発電実験装置をそのまま使うのではなく,実験に関しては代替の装置を用いて,その他については,計算機シミュレータを利用して研究開発を行う.また,海洋温度差発電プラントを遠隔地から監視・操作・制御を行うためには,プラント自身の安定運転が欠かせないため,装置内の各種液位制御についても検討を行う.
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