研究課題/領域番号 |
22560796
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
濱田 孝治 佐賀大学, 低平地沿岸海域研究センター, 准教授 (30294979)
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キーワード | 沿岸海洋学 / 海洋工学 / 数値シミュレーション / cohesive sediment |
研究概要 |
旧佐賀大学有明海総合研究プロジェクトで実施した、有明海奥部を対象とした2006年2月から3月の係留観測(観測A)および2006年7月から2007年6月の係留観測(観測B)により有明海奥部で起こっている懸濁物質輸送の年間の変動について整理し、さらに数値モデルによる再現を試みた。 観測AのSSデータにmohlet法によるウェーブレット解析を適用すると、大潮期の湾奥西部では12時間周期と6時間周期の双方にピークが現れ、筑後川河口沖では12時間周期付近に変動のピークが現れる。これは、湾奥西部では移流と再懸濁の双方によってSSの変動が起こっているのに対し、筑後川河口沖では感潮河道とその沖との間で潮流によってSSがやり取りされていることを意味する。一方、観測Bのデータからは、特に台風13号通過など強風時に無視できないSS輸送が起こっていることなどがわかる。 懸濁物質の1潮汐間の変動や、大潮・小潮変動、強風による変動などは粒径分画を考慮しない懸濁物質モデルによってよく再現され、平常時には湾奥に向かうSSフラックスが存在することなどが確認された(Hamada et al.,2011)。しかし、流動モデル(FVCOM)による筑後川感潮河道の潮汐の再現性が悪く、感潮河道-沖合のSSのやり取りを正確に表現するには不足であったこと、風による再懸濁を再現するための正確な波浪推算に困難があったことなど、まず物理場の再現性を高めることにとりかからねばならず、複数分画のモデルによる現況シミュレーションの結果を得るには至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感潮河道における流動モデルの精度低下など、懸濁物質モデル以外の部分で問題が生じたこと、2010年末に潮受堤防排水門の開門を命じる判決が確定し、有明海異変の原因解明のタイムスケジュールに大きな変更が生じ、高精度のモデル完成を待たず結果を公にしていく必要に迫られたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
速やかに3次元モデルによる有明海奥部の年問の懸濁物質動態の再現計算に移り、その結果を年度前半期を目安に公表する。年度終了時にはソースコード、ドキュメントを公表する。 現在問題となっている物理環境再現性の向上にあたっては、九州大学大学院総合理工学研究院山口創一助教(佐賀大学低平地沿岸海域研究センター客員研究員であり協力関係にある)より、FVCOMについての最新の成果の提供を受ける予定である。
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