浮体型海洋構造物を沖合の厳しい海象下で安全に供用するため、浮体没水部にフィンを付加した構造物を提案する。フィンの ①浮体の動揺エネルギーを渦のエネルギーに変換する(浮体動揺低減化)。②翼型フィンに発生する揚力を利用して、浮体を波の入射方向へ推進させる(波食い推進による波漂流力低減化)。という効果を利用して、大波浪下で浮体動揺を低減させ、また波漂流力を低減させる。この方法の実用化のためには,フィンの最適形状と最適配置を求めることができる計算手法の開発が必要である.計算手法には,自由表面を持った流体中にある任意の浮体およびフィンの形状を考慮でき,フィンから生じる渦の生成,拡散といった粘性影響も正確に表現すること,計算負荷が小さく実用的であることが要求される.この目的に適した計算手法の候補として,VOF法等の差分法,MPS法やSPH法等の粒子法,渦法等が挙げられる.本研究で対象とする波浪中の構造物の周りの流れは高レイノルズ数であり,計算では,物体表面の薄い境界層内部での渦の発生,発生した渦の流体中への拡散,物体からの渦の剥離等を正確に評価する必要があるという点から,渦法を用いて浮体とフィンの相互干渉を考慮した数値解析手法を開発した。
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