研究の最終年度である平成24年度は、平成23年度に構築した水槽実験システムの改修、再構築からスタートした。温水に長時間晒したことにより、流量を測るフローメーターをはじめとし、計測機器が不調を来したためであった。再構築した実験システムで、水槽中への温水放出実験を行い、評価用の音響データの取得を行った。これまでに取得したデータを基にして、熱水の可視化、計量ソフトウェアの完成を目指した。 1、熱(温)水放出装置の改修: 動作不調となったフローメーターの交換、放出温水の温度管理のために恒温槽を導入し、より安定した実験が可能となるよう、熱(温)水放出装置を改修した。 2、計測システムの改修: パンチルト装置と水槽底に定置するための台座部との接続部分を補強し、パンチルト装置の強い駆動力によって緩みが生じないよう対策を行った。 3、水槽実験の実施: 改修した熱(温)水放出装置、計測システムを用い、実験水槽での温水放出実験を行い、ソフトウェア開発のための最終的なデータの取得を試みた。 4、ソフトウェアの開発: 平成23年度までに開発したソフトウェアをベースにして、これまでに取得した実験データを使い、ソフトウェアの完成を目指した。結果として、放出温水中に含まれるマイクロバブルをプロキシとして、水槽中に放出された温水の全体像を表示することができ、更に、放出温水塊中の不均質構造(乱流となり拡散していく様子)を表示することが出来るようになった。温水塊の全体像を基にして、温水放出が定常状態であるとの仮定の下で、流量計測を実施した。
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