研究概要 |
クーラントの持続可能性を向上するために,(1)切削液としての性能が高く,(2)メンテナンス性が良く長寿命化が可能,かつ,(3)適正なリサイクルまたは処理が可能な水溶性クーラントの組成について検討を行うために、基油が異なる(鉱物油ベース、合成エステルベース、植物油ベース)3種類の水溶性クーラントの防錆性,タッピングトルクおよびリサイクル性を調べ,水溶性クーラントの持続可能性を向上させるためのアプローチについて検討した結果、 1.油剤組成に関わらず、自然環境に放置した状態ではエマルションの安定性は高い 2.アミンフリークーラントは防錆性が幾分弱い傾向にあり、防錆性を担保するにはアミン系界面活性剤が有効 3.タッピング加工時の最大トルクは、加工の種類によってクーラント基油の種類を使い分けた方が良い場合がある 4.アミンフリークーラントはアミン含有クーラントに比べリサイクルセイが良好である 5.加工油剤の持続可能性を高めるには、アミン含有クーラントのリサイクル性を高めることが有効と考えられ、このためには親水性が弱い防錆目的の界面活性剤の開発が必要となる。 といった知見を得た。 また、アミンフリー加工液の複数回リサイクル使用の有効性を検討するために、実マシニングセンターを用いて性状変化および加工特性を評価した。エマルションタイプのアミンフリー水溶性クーラントを複数回リサイクル使用すると、クーラントの防錆性が徐々に低下し、リサイクル回数を増やすと無機系アルカリ物質がクーラント中に蓄積していくことが確認された。しかし、加工液としての性能およびエマルションの長期安定性については、リサイクル回数を増やしても大きな変化はなかった。上述したように、アミンフリー加工液は、リサイクル処理が比較的容易な加工液であることを考慮すると、アミンフリークーラントの防錆性を向上させることは、アミン含有クーラントのリサイクル性を高めることと同様、加工油剤の持続可能性を高めることに対して有効と考えられる。
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