研究概要 |
使用済みの工業製品からリユース可能な部品を取り出し,それを新規に製造する工業製品に組み込む生産方式(リマニュファクチャリング)は,すべての部品を新規に製造して組み込む生産方式よりも環境への負荷(環境インパクト)が低減できる.リマニュファクチャリングは,製造段階における環境インパクトを比較的容易に低減できるが,リユース部品の耐用年数(耐久性,寿命分布)について設計段階で十分に考慮し,使用段階において故障することがないようにしなければならない.本申請では,環境インパクトの低減において「効率」の概念を取り入れ,環境効率が最大となるようなリユース部品の物理寿命分布について,数理計画問題の視点から考察することが本研究計画の目的である. リユース部品のEOL(End of life)オプションとしてリユースと廃棄に加えて,マテリアルリサイクルを考慮した.このもとで,リユース部品と新品部品から構成される工業製品がオープンループで循環していく場合を扱ったLCS(Life cycle simulation)ソフトウェアを開発し,平歯車をリユース部品としたもとで,その物理寿命分布が環境効率に及ぼす影響を調べた.また,修理を伴うリユースユニットの物理寿命分布が環境インパクトに及ぼす影響を調べるべく,リユースユニットと新品ユニットから構成される工業製品がクローズドループで循環していく場合を扱い,製品需要,陳腐化,回収率等を変化させたもとでリユースユニットの物理寿命分布が環境インパクトに及ぼす影響を調べ,リユースユニットの最適な物理寿命分布について考察した.
|
今後の研究の推進方策 |
1.工業製品に内在されているユニットを部分的にアップグレードすることによって機能の相対的低下を押さえる方法が考えられる.前年度の研究ではリユース対象ユニットがアップグレードされる状況を考慮していない.そこで,リユース対象ユニットのアップグレードに伴う製品価値低下速度の鈍化を踏まえたモデルを構築し,最適物理寿命・機能寿命分布を考察する. 2.コンピュータシミュレーションによる準最適化に加えて,数理モデルでの最適化について検討する. 3.上記の研究成果を総合したもとで,事例研究をいくつか行うことにより,本研究の総合評価を行う.
|