研究概要 |
本研究では,平成23年度までに,以下の項目を実施した. ・直径6mmの二種類の球形疑似試料(比重1.4g/mm3,1.6g/mm3)を,AEセンサが取り付けられたセンサーヘッドである直径100mmの真鍮製円板に落下させた際の衝突音を,A/D変換ボード(サンプル周期0.25μs)を用いて測定した.その結果,同一条件で試料を落下させた場合,衝突音の測定波形は,同一であることがわかった. ・真鍮製円板の厚さ(5mm~25mm)及び試料落下位置(真鍮製円板の中心からの距離0mm~30mm)の衝突音波形への影響を調べた結果,落下高さは測定波形の振幅に影響することがわかった. ・PCで設定した時間毎に,選別結果の時間的な推移を観測するために,ACサーボを用いて,選別室の上・下に取り付けられた回収箱内の底を開閉し,選別試料を小分けする"選別粒子小分け装置"を作製した. ・両模擬球形試料の衝突直後の衝突音を離散フーリエ変換した波形を論理演算するプログラムを作成し,両試料の識別の基準となるスペクトルを明らかにした. ・実際のリサイクル工場より採取した銅被覆電線の粉砕試料用に,既存の風力選別実験装置の上・下の回収箱に,選別粒子小分け装置を取り付け,実験装置を改良した. ・銅及び塩ビの単体の粉砕試料を選別室に供給し,AEセンサを用いて計測した衝突音を,離散フーリエ変換を用いて,解析した結果,球形の疑似試料の周波数特性よりも複雑な特性を示し,両者の識別には更なる検討が必要であることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,今後,以下の項目を明らかにする. ・銅及び塩ビの単体の粉砕試料の衝突音を,ガボール変換を用いて,時間・周波数領域で解析を行い,両者の識別のための条件を明らかにする. ・銅また塩ビのみの単体の粉砕試料を選別室に供給し,操作量である風力から制御量である銅または塩ビの回収率までの伝達特性を表す伝達関数を,拡大最小二乗法等を用いて推定する. ・銅及び塩ビの粉砕試料を幾つかの混合比で混ぜて選別室に供給し,風力から銅の回収率までの伝達特性を推定し,得られた伝達関数をもとに,フィードバック制御系を構成する.
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