トーラス系磁場閉じ込め装置における高速イオン閉じ込めに対し、磁場リップルの一つであるトロイダル方向のリップル(バンピネス)の依存性について実験的、理論的に明らかにすることが目的である。このリップル成分はトカマク型装置、ヘリカル型装置の双方に関連したテーマであり、ヘリカル型では特に準アイソダイナミック配位に対し、閉じ込め制御で重要なパラメータである。ピッチ角が90度に近い粒子が特にこの問題には重要であるため、磁場に垂直方向の加速を行い、且つ粒子源を有しないイオンサイクロトロン周波数帯(ICRF)の波動加熱装置を用いて生成された高速イオンを利用して研究を行った。生成された高速イオンはヘリオトロンJ装置に設置されている視線移動可能な荷電交換中性粒子エネルギー分析装置(CX-NPA)によって測定した。結果として、これまでに得られてきた高バンピネス配位での高速粒子の生成・閉じ込めの優位性を実験的に確認するとともに、プラズマ断面での分布計測も開始しその初期結果を得た。これについては来年度も継続してさらにデータを蓄積する予定である。数値解析ではモンテカルロ法を用いて、500000個のテスト粒子により20keVまでのエネルギースペクトルを計算し、実験との対比を行いエネルギースペクトルの再現が可能であることを示し、且つピッチ角に対する依存性もほぼ再現されることが分かった。ただし、ICRFのパワー吸収分布については現時点では放物線分布などを仮定しており、これらの検討は今後の課題である。
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