研究課題/領域番号 |
22560819
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 浩之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 准教授 (50169116)
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研究期間 (年度) |
2010-10-20 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマ・核融合 / 高速粒子 / トロイダルルップル / ヘリオトロンJ / ICRF |
研究概要 |
ヘリオトロンJ装置で水素マイノリティ、重水素マジョリティのECHターゲットプラズマに対しICRF加熱を行った。高速粒子エネルギースペクトルは中性粒子エネルギー分析装置(CX-NPA)によって測定した。低衝突領域での高エネルギー粒子測定を行うため線平均電子密度としては0.5E19m-3以下、入射パワー0.3MW程度で、閉じ込め磁場の3種類のバンピネスに対し、高速粒子の生成・閉じ込め挙動を調べる。ここでいうバンピネスの値はB04/B00(B04がバンピー成分、B00が平均磁場成分)で表して、規格化平均半径0.67でそれぞれ0.15(高)、0.06(中)、0.01(低)である。 これまでに磁気軸中心をとおる視線で、CX-NPAを用い高速イオンのバンピネス依存性を調べ、高バンピネスで高速粒子生成が最も効率的であることなどが分かっていた。今年度実験ではこれまで十分でなかった高バンピー磁場配位に対して、中心加熱条件で詳細な分布計測を行った。その結果、CX-NPAの視線がトーラス法線に近い場合には、垂直方向の視線スキャンに対して、少数イオンの高速成分分布が磁気軸に対して非対称であることが分かった。バルクイオン温度に対してはこのような非対称性が存在しないことも分かった。高速粒子の非対称性は中バンピー磁場配位でのトーラス内側加熱でも観測されたが、ポロイダル面での分布はそれと異なっていることも分かった。 バルクイオンの加熱効率については、計測された範囲で高バンピーで最も良いことも確認された。高速粒子分布についてはモンテカルロ計算を3つの磁場配位に対して行い、高バンピー磁場配位の場合にトロイダル方向分布の非一様性が認められ、実験での傾向と一致していることが分かった。さらに、3次元磁場解析コードによりヘリオトロンJ磁場配位での波動伝播についての解析を開始し初期的な結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高速イオンのポロイダル断面でのエネルギースペクトルの分布データ取得のうち不十分であった高バンピー磁場配位でのデータ取得が完了し、新たなポロイダル断面分布が観測された。これで3つのバンピネスに関する高エネルギーイオンに対するデータが取得できた。モンテカルロ計算についても、3つの磁場配位でトロイダル各依存性の結果を得た。今後はさらに高速イオンのポロイダル面の分布に対しても計算を進める予定である。3次元形状の波動伝播、吸収分布については少し遅れており、伝播解析までしかできていない。吸収分布を求められるよう、コード開発も並行して行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実験面では磁場反転実験を行えば、さらに異なるピッチ角での計測が可能となるため、データ取得を目指す。解析ではモンテカルロによる高速イオンのポロイダル分布計算を行い、実験データとの比較まで行ないたいと考えている。パワーの吸収計算についてはコード整備を行う必要があり、今年度もさらに進め、波動吸収分布を求めることを目標にする。これらが予定通り進めば、目標である高速粒子閉じ込めのトロイダルルップル(バンピネス)に対する依存性が明らかになると考える。
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