研究概要 |
核融合炉用核データ、特にLiやBe等の軽い核に対する中性子入射反応と、国際核融合材料照射試験施設(IFMIF)の研究開発で不可欠な重陽子核反応の断面積データを精度良く計算できるコードシステムの開発に向け、各反応モデルの予備的な調査・検討を行った。 まず、重陽子分解反応に関する研究では、提案する核反応模型(連続状態離散化チャネル法(CDCC)+グラウバー模型)を広い質量数範囲に亘る標的(^9Be~^<238>Uまでの8核種)の100MeV(d,xp)反応実験データにも適用し、理論解析を行った。標的の原子番号が大きくなるにつれて重陽子のクーロン分解による前方角への核子放出が増加することを見出した。また、ストリッピング反応を記述するグラウバー模型に使用されているアイコナール近似が原子番号の大きな標的核に対して悪くなり、前方への収量を過小評価する傾向があるため、モデルの改良が必要であることがわかった。次に、核融合炉ブランケット中のLiと中性子との相互作用に着目した本格的なCDCC理論解析を行う前に、入射粒子を^6Liとして、様々な標的(^<12>C~^<208>Pbまでの7核種)に対する弾性散乱データの系統的な解析を行った。 CDCCでは^6Liの分解状態(d+α)を陽に取り扱うことができるために、実験値との良い一致が得られ、CDCC計算に含まれる各種調整パラメータを決定することができた。この結果を基に、標的を陽子に代えた予備計算を行い、実験データが存在する十数MeV領域のp+^6Li→p+d+α反応の解析への適用性を検討した。最後に、直接反応過程に引き続いて起こる前平衡・統計崩壊過程を計算可能なCCONEコード(JAEAで開発)を重陽子入射および20MeV以上の入射エネルギー領域へ応用できるようにコードの改訂・拡張作業を行い、予備的なテスト計算を行った。
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