核融合科学研究所のLHD装置における実験では、この装置の目標の一つである平均ベータ値5%を達成している。ところが、この配位では、プラズマは交換型モードに対して線型不安定であることが既に得られている。従って実験では何らかの安定化メカニズムが働いていると考えられ、そのメカニズムを交換型モードの非線型発展の観点から数値シミュレーションを用いて調べてた。交換型モードは圧力駆動型モードであるので、その解析においては、ベータ上昇効果を取り入れることが重要となる。そこで、このベータ上昇効果を含むマルチスケール非線型MHD解析スキームを開発した。特に、連続加熱と背景圧力分布拡散の効果を予測子-修正子法に取り込んで、1%を超えるベータ値まで解析できるようにスキームを改良した。この手法をLHDプラズマに適用したところ、ベータ上昇に伴って、交換型モードは励起されるが緩やかに非線型飽和し、共鳴面近傍で圧力分布に局所平坦領域を作り出すことが得られた。このことから、このような局所平坦構造の形成という巨視的構造変化を与える自己組織化現象が安定化メカニズムであると主張している。 一方、直線ヘリオトロン配位での交換型モードと静的磁気島の非線型相互作用についても解析を行った。特に、平衡圧力に対する磁場に平行方向の拡散を導入した効果について数値シミュレーションを用いて解析を進めた。その結果、この拡散項のない場合には、交換型モードの成長によって磁気島が成長する場合と減衰する場合の両方の結果が得られるが、この項が入ると必ず成長するという結果が得られている。これは、平衡圧力分布に対する平行拡散項が方程式系に対して非同次項を作り出し、この項が磁気島を成長させる関数成分を解に与えていることによることがわかった。
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