15.5T超伝導マグネットを用いて、中性子照射したNb_3SnもしくはNb_3Al線材の中性子照射後の超伝導特性変化を評価するため、4Kから20K程度までの温度範囲で、最大試料電流500Aの通電が可能な温度可変インサートを設計製作し、その動作特性を評価した。その結果、所定の試験条件での超伝導特性評価試験が可能であることが明らかになった。中性子照射した試料での試験では、試料の溶損対策が重要であり、通電電流の緊急遮断システムの確実な動作が必要である。 温度可変インサートの設計、製作と並行して、研究用原子炉で0.1MeV以上のエネルギーを持つ中性子を1.0x10^<22>n/m^2および4.3x10^<24>n/m^2照射したNb_3Sn、Nb_3Al線材を準備し、照射後の磁化特性をSQUIDで測定した。Nb_3Sn線材では、1.0x10^<22>n/m^2の中性子照射によって磁化-磁場の履歴曲線が全体として大きくなり、照射によって臨界電流ならびに臨界磁場が増加していることが示唆されている。しかし、4.3x10^<24>n/m^2の中性子照射の場合には4.5Kにおいてほとんど超伝導特性を示さなくなった。一方、Nb_3Al線材では、1.0x10^<22>n/m^2の照射でもほとんど履歴曲線の大きさは変化せず、4.3x10^<24>n/m^2の照射では、Nb_3Snと同様、超伝導特性を示さなくなった。しかし、照射後に適切な熱処理を行うと、ほぼ未照射材のレベルにまで磁化特性が復帰した。これらのことから、中性子照射による弾き出し効果によって臨界電流は増加する可能性があるが、多量の照射を行うと臨界電流は低下し、やがて超伝導特性を示さなくなることを明確にした。
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