電子線照射に伴う「液体窒素の放射線誘起オゾン爆発」の実験体系の整備と観察実験を行った。対象が単発現象であり、発生が予期できないこともあり、一度の観察で可能な限り多くの情報が得られる実験体系を構築することに努力してきた。これまで3系統のCCDカメラ体系を整備し、各波長での画像変化を同時に測定できる実験体系を整備してきたが、本年度はこれらのカメラをさらに高速化し、加速器のパルスと同期化し、マイクロ秒単位の時間分解能を有し、数マイクロ秒のシャッター速度のストロボ撮影が可能となった。さらに画像伝送、画像処理、画像記録系を高速化し、電子線加速器の繰り返し周波数に相当する15Hzでの連続撮像が可能となり、動画撮像が可能となった。また、外部からプローブ光を導入し2種類の波長での吸光度が逐次画像計測できるようになった。ただし、この実験の中で、電子線照射によるガラス、空気の発光が無視できないことも明らかとなった。さらに数分を超える照射ではガラスの着色も問題となった。これらの知見をまとめて、発光の問題に関しては、平成24年8月に大阪で開催された第9回日本加速器学会で発表するとともに、着色の問題と評価に関しては、平成25年6月に東京で開催される日本非破壊検査協会春季講演大会で発表を行う。 液体窒素爆発そのものの研究は、現象の再現性の問題から最終結論には至っていないが、現時点ではオゾンが集積した後に放電によるトリガによって爆発するものと推定されている。今回構築した測定体系を用いて実証したいと考えている。
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