研究課題
本研究は、石炭やバイオマスの太陽熱によるガス化反応系の構築を目的とするもので、下記項目について検討した。1ガス化反応器作製 実際の反応系ではタール除去槽(熱分解槽)とガス化槽を組み合わせて使用する予定であるが、22年度はそのうちガス化槽部分のみを切りだした形で反応器(ラボスケール)を試作した。このガス化反応器は、ステンレス製で、その上部に石英ガラス製採光窓を備えることを特徴とする。これにより、反応器の加熱を経由せずに直接反応物を加熱できるため、内燃式で無いにもかかわらず、反応に要する熱が速やかに伝達される利点から採用に至った。2タール分解触媒作製 石炭等の加熱時に発生するタールはその粘性ゆえ流動を阻害し、かつ採光窓を汚染して熱供給を妨げる。そこで、良好なタール分解触媒の模索を行っている。これは現在鋭意継続中である。3ガス化試験 われわれは、これまでの研究では反応ガスに制御が容易な二酸化炭素を用いて行っていたが、実際の運用では供給が容易な水蒸気でガス化を進行させることを鑑み、水蒸気を前述(1)で試作したガス化反応器に導入して、石炭コークスのガス化反応を行った。粒径1ミリ程度のコークスをオールバッチで入れ、熱源に太陽集光を模したキセノンアーク灯により3キロワット(最大熱流束約2MW/m^2)の光を石英窓より導入したところ、CO,H_2等のガス発生を確認した。4反応器評価 ガス化反応は、多量の炭素質材料の処理に有利な流動層反応器で行った。反応器は2種類作製し、一方は反応粒子の循環を促進させるためのドラフト管を据え、他方はそれの無い単純なものとした。それらの性能を比較したところ、ドラフト管を付けることで、コークスのガス転換速度が約2倍になり、照射光のエネルギー転換率も高まることが確認された。しかし、どちらの反応器も反応器壁に高エネルギーの光が当たるため、その耐久性が低く、依然デザイン修正を要する。
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ASME Journal of Solar Energy Engineering
巻: 132(4) ページ: 041004-1-041004-6