研究課題/領域番号 |
22560836
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
籏町 剛 新潟大学, 工学部, 技術専門職員 (40456356)
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キーワード | 太陽熱利用 / バイオマスガス化 / 流動層反応器 / 増熱技術 / 新エネルギー |
研究概要 |
本研究は、太陽熱利用を複合させたバイオマス等のガス化技術で、広範に存在する炭素資源をもとに合成ガスの製造を試みることを目的にするものである。われわれはこれまでに石炭コークスのガス化反応の熱源として太陽光を直接照射する流動層反応器を製作してコークスー太陽熱複合エネルギー体として合成ガスを作ってきたが、同様に揮発分の多いバイオマス等の原料でも運転可能なガス化システムを構築できれば、炭素質資源を限定せずカーボンニュートラルに水素等の燃料を得ることができることになり、エネルギー問題解決の有力な選択肢になりうるだろう。 本研究の反応システムは、石炭・バイオマス等から揮発分を除去するタール分解槽と、固定炭素を二酸化炭素あるいは水蒸気と反応させて合成ガスを得るガス化反応槽から構成されるものである。その前者の内部に導入するための新規タール分解触媒の作製をしてきたが、いまだ従来のゼオライト系を上回るものは見いだせていない。その一方で23年度は、全反応システムの中でもとくに、ガス化反応槽を中心に反応器の改良・適した反応条件の模索を行い、とりわけ反応ガスである水蒸気導入部の工夫により、従来以上に高濃度の水蒸気を導入できるようにしたことで、水素および一酸化炭素それぞれの生成速度,光/化学エネルギー転換率いずれにも飛躍的な増進が認められた。また、反応条件の最適化こそ未了であるが、概して反応粒子循環性を向上させるためにドラフト管を設置することで反応速度も増す傾向が認められた。さらに、ドラフト管付き流動層ガス化反応器において、水蒸気導入速度の調整により粒子流動性を向上させることで、循環性強化のみならず、反応槽中間部の温度を反応可能域まで上げ、反応場を拡大させることに成功した。しかし、ガス化反応槽では、反応の進行につれ反応しない灰分が凝集・生長して粒子流動を阻害するとともに熱を遮る問題が発生し、その解決にはいたっていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本システム用に考案しているタール除去法がいずれもアイディア段階に過ぎず、検証段階にいたっていないマイナス要素がある。そのいっぽうで、太陽集光利用を想定したタール除去後の水蒸気ガス化反応試験(ラボスケール)で活性を大幅に向上させえた点を高く評価した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、より実際の運用に近い条件で行うべく、昨年度まで用いていた石炭コークスよりも揮発分の多い褐炭を用いて一連の反応試験および当該システムの評価を行う。そのために、タール除去槽の設計・試作をし、除去槽単独でのモデル試験ののちく有効性が確認できたら本システムに組み入れ、その有効性を調べる。
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