研究課題
小型風車は古来より揚水や粉ひきのための動力として活用されてきたにも関わらず、現在、小規模風力発電用としては導入が進んでない。その大きな問題点は、強風に対する失速制御方式が確立されておらず、その結果、過回転による破損事故が多発していることがあげられる。しかし、大型風車の活躍の陰に隠れて、小型風車の技術が進展しないことは不合理なことともいえる。また、現に島嶼地域や離島、および、山間部などでは世界的に電力インフラのない地域が多く存在し、小規模電力供給システムの必要性は論を待たない。今回の研究開発は、耐強風性に優れた小型水平軸風車の開発とその動特性解析、さらには、実際に運用・メンテナンスまでをシステム化し総合的に実現性の高い小規模独立型発電システムの開発を試みようとするものである。具体的には、風車の過回転を防止する水平軸タイプマイクロ風車のエアーブレーキシステムの開発研究を行う。この発想の原点は、回転の遠心力を積極的に活用し、過回転の制動を行うものである。その研究の裏づけとして、水平軸風車の過回転防止のためのエアーブレーキに関する特許が2010年12月に認定された。1)翼素理論による失速制御の解析、および、風車のダイナミックモデルを用いた失速制御解析。2)小型模型を用いた風洞実験による翼の運動の実験的解析。3)フィールド実験により、ばね弾性係数を変化させたときの実験的検証。4)風車特性とマッチングのとれた発電機の試作と実証試験。5)風車のフェルセーフを実現するためのセンサーコントローラを用いた電磁ブレーキによる論理停止制御。平成22年度は上記5項目の課題についてすべて手掛けている。まず、翼素理論を用いた失速制御および風車ダイナミクスを構成した動力学モデルに関しては、実験値とシミュレーションモデルの再現性が十分に表現できたと考えられる。小規模模型を用いた風洞実験による翼の運動解析の方は、現在、模型の設計中である。フィールド実験によるバネ定数を変化させたときの翼の失速挙動解析では、バネ定数を1N/mm、2N/mm、5N/mmと変化させたときの実験を行って、現在そのデータを解析している。風車特性とマッチングのとれた発電機は、2010年8月に制作を依頼して、それの発電試験を行った。
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Information
巻: 14 ページ: 5-16
Lecture Note on Communication in Computer and Information Science
巻: GDC/CA 2010 ページ: 196-205
日本太陽エネルギー学会論文誌
巻: 35 ページ: 107-115