研究課題
本研究は,資源および環境面で優位性のある天然ガスを主燃料として吸気管に供給し、着火燃料を燃焼室内に噴射する‘二元燃料ディーゼル機関’の性能、排ガス特性、燃焼特性について解明することを目的とする。これまでの研究の結果,セタン価が45程度以上の着火燃料を使用することによって,CNG供給比率(シリンダ内への全供給熱量に対するCNG供給熱量の比率)が75~77%までは高負荷運転における正味熱効率を高い値に維持し,Smoke 濃度を大幅に低減しうることが明らかとなった.しかしながら,CNG供給比率増加とともに着火遅れが増大し予混合的燃焼が活性化するためにNOx濃度は漸増する傾向を示した.二元燃料運転におけるNOxエミッションを低減するために,本研究ではEGR(排気再循環)を模擬する実験を試みた.すなわち,吸気を希釈するために,EGRの主成分であるN2あるいはCO2ガスを使用した.トータルの吸気量に対する希釈ガスの質量比率を希釈ガス混合比率と定義して実験を行った結果,二元燃料ディーゼル燃焼にN2あるいはCO2希釈を適用することでNOxとSmokeとのトレードオフをいずれも顕著に改善することができた.この場合,N2希釈による二元燃料運転はCO2希釈に比べ,高い正味熱効率を維持する上で優れた効果を示した.主たる結果は以下のように要約できる:すなわち,CNG供給比率61%,N2混合比率14.6%の二元燃料運転では,通常のディーゼル運転に比べ,正味熱効率の低下を3%以下に抑えながらNOxを69%,Smoke(オパシティ濃度)を60%,それぞれ低減することができた.今後の課題として,実際のEGRを適用した際のNOx低減効果,ならびにSmokeエミッションとの間のトレードオフ改善効果を明らかにする必要がある.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Energy
巻: 未定 ページ: 1-8
10.1016/j.energy.2012.11.039
SAE International Journal of Fuels and Lubricants
巻: Vol. 5, Issue 3 ページ: 1-9