研究概要 |
石油代替エネルギーとしてさまざまな自然エネルギーの利用が推進されている.国内の中小河川や灌漑用水路は数百万kWの潜在的発電能力をもつといわれており,本研究はこれらの水流を利用して翼にフラッタを生じさせ,その動きによって高効率で発電を行う新しい小規模水力発電技術の実現を目的としている.昨年度までの装置では,補助的なモーターを用いて翼のピッチング動を強制的に与える方式を用いていたが,本技術の実用化に際しては,補助モーターを用いない方式が望まれる.本年度は,新しく翼の往復水平動とピッチング動を機械的にリンクさせる機構を考案し(特許出願済),補助モーターを使わずに流れによって翼にピッチング動と往復動を生じさせる小型の実験装置を開発・製作し,機構と性能の検証を行った.実験装置は,コード長100mm,スパン300mmの翼を用いており,全体の寸法は幅700mm,長さ400mm,高さ900mmである.実験は,九州大学伊都キャンパスの高速回流水槽を用いて行った. 得られた主な結果は以下のとおりである. (1)流速 1.0[m/s],往復動振幅 80[mm]で,発電量 4.6[W],発電効率 28.0[%]を得た. (2)上記結果は,昨年度までの補助モーターを用いる方式と同等以上であり,水の流れのみで発電できるより簡便な方式の検証ができた.
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