研究課題/領域番号 |
22570018
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
河村 功一 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (80372035)
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研究分担者 |
片野 修 独立行政法人水産総合研究センター, 内水面研究部, 研究室長 (60211843)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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キーワード | 移入種 / コイ科魚類 / 遺伝的多様性 / 栄養カスケード / 定着成功 / 環境適応 / コアユ / 自然選択 |
研究概要 |
移入種(オイカワ)の定着成功要因を探るため、野外調査においてオイカワと他魚種の関係について調べたところ、オイカワの生息個体数はアユがいる河川では少なく、浮き魚の中に占める割合は低かった。食性解析において,オイカワ,カワムツ,アユ,ウグイはいずれも藻類と昆虫類も摂食する雑食性であり,特にアユとオイカワは藻類を摂食する割合が高かった。アユは藻類のうち藍藻を多く摂食していたが,オイカワを含めて他の魚種はもっぱら珪藻と緑藻を摂食し,藍藻を摂食することは稀であった。また、アユの存在が藻類群集を珪藻や緑藻中心のものから藍藻中心のものに変え,その藍藻をオイカワが利用できないことから、オイカワの定着成功はアユによって低下させられることが明らかになった。次に遺伝学的アプローチとしてマイクロサテライト(MS)情報を元にオイカワ移入集団の有効集団サイズ(Ne)を推定したしたところ、生息個体数ならびに定着成功度(浮き魚群集におけるオイカワの優占度)とNeの間にある程度の正の相関(p<0.05)が見られた。摂餌適応における重要形質である鰓耙数は、集団間で大きく異なり、母集団と考えられる琵琶湖集団との間における遺伝的分化と鰓耙数の間に全く相関は見られなかったが、アユの有無との間には高い相関が認められ(P=0.00)、アユの存在が摂餌適応において強力な選択圧になっている可能性が示唆された。以上の結果から、移植されたオイカワの定着成功において、アユの存在は最も重要な決定要因であり、遺伝的多様性の寄与率はそれほど高くないことが明らかとなった。また、競合種であるアユの存在はオイカワの摂餌形質において短期間での形態分化を生じ、この形態分化にはごく小数の遺伝子が関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
理由
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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