研究概要 |
(1) Genarchopsis goppo隠蔽種群の遺伝的・形態的研究,およびその宿主調査 2011年度は滋賀県外14地点,滋賀県(琵琶湖水系)内6箇所の魚類およびカワニナ類から得られたGenarchopsis属について遺伝子解析を行い、全国のGenarchopsis goppoは、同属種のGenarchopsis fellicolaの側系統群であり、少なくとも3つの単系統群(琵琶湖型,中部~近畿河川型,中国~四国河川型)であることがわかった。このうち、琵琶湖型はもっとも古くに分岐しており,琵琶湖内で早くから固有進化を遂げた固有種と看做すことが適当であると考えられた。琵琶湖型は過去にGenarchopsis gigi(現在はG.goppoのシノニム)として記載された経緯があり、本学名が有効名として復帰することとなる。 終宿主の魚類は、G.goppo, G.fellicola勉を含めて特異性が低く,どれも複数種の魚類を利用していた。中国~四国河川型の成虫はドンコのみから得られたが他の魚種の検査数が少なかったためであると思われ、文献記録等より、これも複数種の魚類に感染すると考えられた。従って,G.goppoの種分化に,終宿主の特異性は関与しておらず,第一中間宿主のみを考慮すれば十分であると思われた。 これらの結果は、近日中に学術誌に投稿される予定である。 (2) 琵琶湖産カワニナ類の分子系統学的研究 核遺伝子ITS-1領域の単独配列を解読するため、サブクローニングの手法について最終的な打ち合わせと確認を行った(平成23年度から実施予定)。
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