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2010 年度 実績報告書

相利と捕食などの複数の型の相互作用を含む生物群集の構造と動態

研究課題

研究課題/領域番号 22570026
研究機関大阪府立大学

研究代表者

難波 利幸  大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (30146956)

キーワード相互作用 / 捕食 / 競争 / 相利 / 生物群集 / 数理モデル / 生物多様性 / 個体群動態
研究概要

相利と捕食と競争などの複数の型の相互作用が関わることが生物群集の耕造と動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を行った。
相利と捕食が関わる系として、植物と相利関係にある植食者と捕食者からなる系、相利と競争が関わる系として、植物と相利者と植食者からなる系の、Lotka-Volterra型の個体群動態モデルを考えた。相利のLotka-Volterra型モデルは、相利の効果が強すぎると個体群密度が発散するという欠点を持つが、逆に、発散を抑える要因を明確にできるという利点を持つ。これらのモデルでは、コストが大きすぎなければ、相利に捕食や競争の相互作用が加わるために、安定に3種が共存できる場合があることが明らかになった。また、二つのモデルを結合した系として、植物、相利者、植食者、捕食者からなる系を考え、群集耕造が複雑化することによって、相利の発散効果が抑えられる場合があることを明らかにした。これは、単に種数が増えるだけではなく、異なる種類の相互作用が組み合わさることが群集の安定性に及ぼす影響を明らかにした先駆的研究である。
植物間の競争と植食、捕食が関わる系として、うまい草とまずい草とシカとオオカミからなる系について、シカが年に1回しか繁殖しないことを考慮した離散力学系モデルを調べた。結果は連続力学系の場合とよく似ていて、うまい草とまずい草とシカの3種の動態は潜在的に不安定で、激しい個体数の振動を引き起こすが、オオカミの導入によってそれが抑えられた。しかし、離散力学系では、オオカミを除く3種系が不安定で個体群密度が振動する場合でも、オオカミの導入によって4種が安定に共存する場合があるなど、連続力学系には見られない振る舞いが現れた。世界各地で深刻な問題になっているシカの大発生の解決に有益な示唆を与える基礎研究である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 学会発表 (5件) 備考 (1件)

  • [学会発表] チャネルの異なる雑食とギルド内捕食を含む群集の構造と安定性2011

    • 著者名/発表者名
      森田由香里・難波利幸
    • 学会等名
      日本生態学会第58回大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター札幌市
    • 年月日
      2011-03-11
  • [学会発表] 植物個体間の正の相互作用が群集動態に及ぼす効果:格子モデルによる考察2011

    • 著者名/発表者名
      池川雄亮・江副日出夫・難波利幸
    • 学会等名
      日本生態学会第58回大会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター札幌市
    • 年月日
      2011-03-10
  • [学会発表] Multiple unstable steady states and ungulate population dynamics2010

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Namba, Aiko Ohno
    • 学会等名
      第3回日中数理生物学コロキューム
    • 発表場所
      海北緑園休閑度暇会議中心,北京市,中華人民共和国
    • 年月日
      2010-10-19
  • [学会発表] うまい草とまずい草の存在がシカ個体群の動態に及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      難波利幸
    • 学会等名
      第20回日本数理生物学会大会
    • 発表場所
      北海道大学,札幌市
    • 年月日
      2010-09-14
  • [学会発表] Effects of palatable and unpalatable plants on herbivore population dynamics2010

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki Namba, Aiko Ohno
    • 学会等名
      British Ecological Society Annual Meeting 2010
    • 発表場所
      リース大学,リーズ市,イギリス
    • 年月日
      2010-09-09
  • [備考]

    • URL

      http://www.b.s.osakafu-u.ac.jp/~tnamba/nj-index.html

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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