タマネギバエが日中の羽化を避ける理由を探るために、新成虫の高温耐性の評価を行った。その結果、体温が42℃を超えると歩けなくなること、体温が40℃を超えると歩くことはできるが翅を伸ばすことが出来ないことが確認された。 札幌に設置した実験圃場において微気象の測定を行い、羽化直後の成虫が曝される環境条件を検討した。その結果、夏季には北海道といえども快晴時の地表温度が50℃近くに達することが確認された。上記の結果とあわせて考えると、早朝羽化の意義のひとつとして日中の高い地温を避けることが想定される。 タマネギバエは、地温の日較差を用いて羽化時刻の補正を行っている。地温の日較差が羽化時刻の補正において適切な信号となりうるのかどうか、実験圃場において異なる深さの地温の長期測定を行った。その結果、地温の日較差は深くなるほど日々のばらつきが小さくなること、同じ深さでみると季節変化が少ないことが明らかになった。このことは、地温の日較差が蛹化深度の補正においてノイズの少ない指標として利用できることを示している。 圃場におけるタマネギバエの潜在的な捕食者を探るために、羽化直後の成虫を圃場にいるさまざまな捕食者に与え、その反応を観察した。その結果、圃場に生息するアリ類やクモ類の多くが与えたハエに対して捕食性を示した。
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