研究課題/領域番号 |
22570039
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
吉岡 泰 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (60202397)
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キーワード | 葉緑体 / シロイヌナズナ / 形態形式 / 色素体分裂 |
研究概要 |
シロイヌナズナCRL遺伝子としての機能を持つCRL-YFP融合と、各種オルガネラ局在蛍光タンパク質との細胞内共局在を解析した結果、CRLタンパク質が局在する、小さなドット状の構造体がミトコンドリアであることが明らかとなった。ミトコンドリアへの局在にはN末端の60アミノ酸領域または、CRLタンパク質の37-132アミノ酸領域が必要であった。ミトコンドリア局在蛍光タンパク質を発現している植物体を用いて、野生型とcrl変異体とで、ミトコンドリアの数と形態を観察したが、両者の間に顕著な差はなかった。今後は、crl変異体におけるミトコンドリアの機能について検討する予定である。野生型シロイヌナズナの全不溶性タンパク質画分より、n-dodecyl-β-D-maltosideを用いてCRLタンパク質を可溶化し、それをBN-PAGEによって分離した結果、CRLタンパク質は分子量約140kDaと約60kDaの複合体に含まれていることが、抗CRL抗体を用いた解析から明らかとなった。さらに、SDS-PAGEによって、CRL複合体を分別し、MALDI-TOF-MSを用いて、CRL複合体に含まれるタンパク質の同定を試みたが、回収できた試料がすくなく、タンパク質同定には到らなかった。この結果から、CRL複合体構成成分を同定するには、解析に用いるタンパク質量を増やし、抗CRL抗体カラムを用いて複合体を濃縮することが必要であると考えられた。触
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでCRLタンパク質の細胞内局在に関する解析、および、既知色素体タンパク質との相互作用解析には一定の進展があったが、植物体からのCRLタンパク質複合体の単離と解析は、得られる複合体の量が少ないため、解析が遅れている。また、および、crl変異のエンハンサー、サプレッサーの単離は変異原処理したcrl変異体植物の稔性が低下してしまうため、十分な数のスクリーニングを行えていない.
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今後の研究の推進方策 |
CRLタンパク質がミトコンドリアにも局在することが明らかとなったため、CRLタンパク質を色素体あるいはミトコンドリアの一方のみに局在させることで、CRL遺伝子それぞれのオルガネラでどのような機能を果たしているのかを解析する予定である。また、植物体からの複合体の単離・解析は、出発材料の量を更に増やし、抗体カラムを利用して、複合体を濃縮する。エンハンサー、サプレッサーの解析は、変異原処理する稔性低下を考慮して種子数を増やして行っている。
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