研究課題
これまでにシロイヌナズナCRLタンパク質はミトコンドリアと色素体に局在することを明らかにしたが、今年度はミトコンドリアと色素体への局在シグナルが、CRLタンパク質のN末端よりにある短い疎水性領域であることを明らかにした。さらに、その疎水性領域内のグリシン残基のアスパラギン酸への置換によって、色素体へのタンパク質輸送のみが阻害される事を明らかにした。CRLタンパク質はオルガネラ膜アンカー型タンパク質の1つであるが、これらタンパク質の輸送にはankyrin repeat-containing protein 2A, 2B (AKR2A, 2B)が関与することがすでに報告されている。酵母ツーハイブリッド系を用いた解析から、AKR2Aタンパク質がCRLの輸送シグナルである短い疎水性領域に結合することが明らかとなった。これらの結果から、AKR2タンパク質によってCRLタンパク質は色素体とミトコンドリアへ輸送されることが示唆された。どのような機構でミトコンドリアと色素体への輸送の選別が行われているかは今後の課題である。また、CRLとしての機能をもつCRL-GFPタンパク質を発現しているシロイヌナズナから、抗GFP抗体を用いてCRLタンパク質と相互作用するタンパク質を精製した。その結果、色素体へのタンパク質輸送に関与する色素体外包膜タンパク質Toc75-IIIと、ストレス応答などに関与するProhibitin(PHB)タンパク質が、CRLと相互作用するタンパク質候補として得られた。crl変異体では色素体へのタンパク質輸送に一部欠損が見られ、さらに、phb遺伝子変異体と類似した表現型が観察された。これらの事から、Toc75-IIIとPHBタンパク質が実際にCRLと相互作用している可能性が高いと考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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