研究課題
SAP130は、mRNA代謝に関わるSF3b、転写制御に関わるSTAGAやTFTC、タンパク質分解制御に関わるCRL型E3やCSNなどのタンパク質複合体において、構成因子や結合タンパク質として同定されることから、その機能が多岐にわたると考えられる。本研究では、結合相手に依存してSAP130の機能『モード』が使い分けられると考えて、各モードでSAP130が担う制御機構と、そのとき制御されるターゲット遺伝子群の解明を目的とする。平成22年度の研究成果を以下にまとめる。1. まず、SAP130 (spliceosome associated protein 130)そのものの機能を解明する目的で、植物を材料にその機能を詳細に解析した。その結果、シロイヌナズナに2コピー存在するSAP130遺伝子の各mRNAが全器官で蓄積し、そのプロモーター活性は特に花粉、タペートと一部雌性配偶体において高いことが判明した。またSAP130発現抑制植物は、花粉形成が異常となり、不稔形質を示した。2. つぎに、花粉形態形成におけるSAP130の機能『モード』の解明を目指した。SAP130発現抑制植物における形質異常時期を解剖学的に解析した結果、microspore形成後bicellular形成までの間に形態学的異常が認められた。そこで、この時期に機能をもつと考えられる遺伝子群などの発現を解析した結果、QRT1とQRT3の発現量が、SAP130発現抑制植物で野生型植物に比べて低いことが判明した。これらの結果から、SAP130が正常な花粉形成において不可欠であることが、初めて明らかとなった。現在は、SAP130が花粉形成に担う機能『モード』の分子メカニズムの解明を目指して、複合体間の動態解析を進めている。上記成果の一部は、国内外の学会と、高い評価を受けている国際誌において論文として発表した。
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巻: (印刷中(掲載確定))
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