研究概要 |
高等植物は、分裂組織から規則正しく葉や花などの器官を作り続ける。花器官が花芽の中で決まった位置に作られる仕組みを明らかにするため、以下の研究を行った。(a)がく片間で発現するPETAL LOSS(PTL),花弁原基で発現するRABBIT EARS(RBE)、及び器官境界部で発現するCUP-SHAPED COTYLEDON1(CUC1),CUC2各遺伝子の発現を、蛍光タンパク質GFPやSECFPを用いて可視化できる植物体を作製し(PTLg:GFP,PTLg:SECFP,GFP=RBEg,CUC1g:GFP,CUC2g:GFP)、発現を確認した。発現領域の重なりを調べる為に、SECFPラインとGFPラインをそれぞれ交配し、F1植物を得た。(b)RBEと共に機能する遺伝子探索を、Yeast Two Hybrid法を用いて行った。ベイトとなるRBEをクローニングし、つくばの産総研・遺伝子転写制御研究グループの協力を得てスクリーニングを行い、相互作用する可能性がある転写因子を13個得た。(c)器官形成におけるRBEの機能を調べるため、GFP:RBE融合遺伝子を花芽の中で異所的に発現する植物体を作製した。使用したのは、花芽全体で発現誘導するAPETALA1プロモーター、第2・3whor1で発現誘導するAPETALA3プロモーター、及び花の内側で発現誘導するAGAMOUSのシス配列であり、このうちAPETALA1プロモーターで誘導した植物体に形態異常が観察された。(d)昨年度までに作製した35S:PTL:GFP,35S:PTL:GR,35S:GFP:RBE各ラインを確立し、次世代種子を得た。(e)rbe-1サプレッサーとしてスクリーニングした植物体の遺伝子を調べたが、RBE遺伝子に変異が見つからず、野生型が紛れた可能性が示唆された。
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