(1)大腸菌のリボソームタンパク質情報を基に、NUS1のバクテリアオルソログであるNusBと相互作用する因子の葉緑体オルソログを推定しcpNUSEと命名した。cpNUSEの組換え蛋白質を合成しそれを抗原とした抗体を作成した。これらの因子はリボゾームタンパク質と相互作用し、プレrRNAの認識特異性と結合活性を高める可能性がある。また、これらはP-NIJSに含まれるタンパク質の同定に用いる。(2)rrnオペロンの5'隣接配列に対応するRNAプローブを合成し、NUS1との結合を調べた。すでにNUS1結合領域として、既知の転写開始点を含む250bpの範囲をin vitroタンパク質-RNAゲルシフト解析で同定しているが、さらに相互にオーバーラップする約60bpの9つの領域に分けて、組換えNUS1タンパク質とのin vitroでの結合活性を調べた。シロイヌナズナNUS1とrrn配列を用いて調べたところ、転写開始点PC付近の配列に対応するRNAに最も結合活性が高く、その他の領域では低いことがわかった。また、NUS1と同様にNUS機能ドメインを持つNUS2タンパク質についても、組換え蛋白質を合成し同様の実験を行ったが、NUS1に比べ結合パターン、活性共に異なる結果が得られたため、rrnオペロンに関してはNUS1とは異なる機能を持つと推定される。これらの結果はイネのデータと比較したうえで、NUS1の機能推定の基礎データとする。(3)NUS1タンパク質が他の葉緑体プレRNAに結合する可能性を探索するため、複数の遺伝子の5'UTR領域を対象としてin vitroゲルシフトアッセイにより結合活性を調べ、clpPおよびrbcLの5'UTR領域に結合することが分かった。
|