研究課題/領域番号 |
22570047
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
門田 明雄 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (60152758)
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キーワード | 葉緑体運動 / アクチンフィラメント / 光運動反応 / フォトトロピン / ヒメツリガネゴケ / ゼニゴケ / GFP / ホウライシダ |
研究概要 |
初年度に行ったゼニゴケ、ヒメツリガネゴケの葉緑体光定位運動にともなう葉緑体アクチンフィラメント動態の解析を継続してさらに詳細に行っている。ゼニゴケの葉緑体アクチンフィラメントは葉緑体周縁部から生じ、束化、結合、切断等、活発なダイナミクスを示し、網状として観察されるが、青色光照射にともない、このアクチンフィラメントが葉緑体上で進行方向前端部へ偏在を示した後、光定位運動が生じる。この偏在が生じる過程を調べている。ヒメツリガネゴケでは葉緑体の指向的な定位運動には微小管系とアクチンフィラメント系が重複して使われているが、通常は微小管系が主に使われ、葉緑体アクチンフィラメントはメッシュワーク構造として定位部位への葉緑体の繋留に働く。葉緑体アクチンフィラメントの形成に働くと考えられるCHUP1にGFPを融合して発現させ、葉緑体アクチンフィラメントとCHUP1の動態を同時に観察した結果、CHUP1は葉緑体上で顆粒として観察され、その形成部位は葉緑体アクチンフィラメントの生成部位と一致することがわかった。さらに詳細な解析をおこなっている。ホウライシダの青色光によるフォトトロピン依存の葉緑体運動時にも葉緑体アクチンフィラメントの偏在が示されたが(Tsuboi and Wada 2011),光合成依存の葉緑体運動時の葉緑体アクチンフィラメントの関与についても解析を始めた。さらに、複数の植物種を用いてプロトプラストから単離葉緑体を単離し、in vitro系での葉緑体アクチンフィラメントの形成誘導を行っているが、現在までのところ、アクチンフィラメントの生成に成功していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災による大学の電力使用規制のため、実験の繰返しが難しい部分があるが、思いのほか、はっきりと結果が示された解析もあり、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
震災による大学の電力使用規制は今年もあると予想されるため、実験計画を充分に吟味し、極力、無駄の無い実験により研究を進展させる予定である。
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