研究課題
既知のシロイヌナズナCERK1のX線構造解析の情報に基づいて、CEBiPの分子モデリングを行った。その結果CEBiPにおいても、CERK1と同様に中央に位置するLysMドメインが糖リガンドの結合に重要な役割を持つことを確認した。またCEBiP分子とキチンリガンドとのドッキングシミュレーション解析を行った結果、このLysMドメイン上にはN‐アセチルグルコサミン4量体中の3個の糖残基が入り込む空間があることを明らかにした。我々はこの分子モデリングの解析から、CEBiPのリガンド結合に関わる5つのアミノ酸残基を推測し、それぞれのアミノ酸残基をアラニン残基に置換した変異体タンパク質をベンサミアナタバコで発現させ、これらの発現タンパク質のキチンリガンドに対する結合活性の挙動を親和性標識実験で調べた。その結果、CEBiPの122番目のイソロイシン残基をアラニン残基に置換した発現タンパク質のみが、キチンに対する結合性を失っていた。 一方、イソロイシン残基をロイシン残基やバリン残基に置換したCEBiP変異体は、キチンリガンドへの結合能力を保持し、CEBiPのキチンの認識にはアミノ酸残基の鎖長が影響することを明らかにした。一方、ユニークなキチンオリゴ糖((GlcN-GlcNAc)4)によるイネ細胞におけるキチン誘導型活性酸素の生成の阻害、及び大腸菌発現系で作成したCEBiPの限定された細胞外領域の発現タンパク質を用いるSTD-NMR法によるリガンドのエピトップマッピング、光散乱法によるCEBiPの二量体複合体形成の種々の解析結果を合わせることにより、CEBiPはキチンリガンドをサンドイッチ型に挟むことにより、イネのキチンシグナル応答系の開始が誘導されることを明らかにした。この成果は、イネ持つキチン系の防御応答系の起点を示した最初のものであり、今後この研究の継続により、防御応答系の全貌が明らかになり、免疫力を高めた病害抵抗性の強い作物の開発につながることが期待できる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Mol. Biol.
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Proc. Natl. Acad. Sci. USA
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