研究課題/領域番号 |
22570053
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
小島 晶子 中部大学, 応用生物学部, 講師 (10340209)
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キーワード | 植物 / 発生・分化 / 遺伝子 / ヒストンアセチル化酵素 / 遺伝学 / マイクロアレイ |
研究概要 |
本研究ではヒストンアセチル基転移活性ドメインを持つタンパク質をコードするEZO3と植物固有のAS2ドメインをもつAS2の機能解析により、クロマチンの構造変化を通した葉の形態形成の分子メカニズムの詳細を明らかにすることを目的としている。我々はこれまでにclass1 KNOXや背軸側因子FIL、ETT、ARF4の発現量がas2-1 elo3-27二重変異体で上昇することを明らかにしてきた。今年度は以下の結果を得た。 (1)AS1,AS2の直接の標的であると考えられるETTゲノム領域についてChIP assayを行なった結果、as2-1,as1-1変異体では、ヒストン修飾については顕著な変化は認められなかったが、DNAのメチル化レベルが低下している事が明らかとなった。またas2-1変異体へのAS2の導入による表現型の回復とともにメチル化も回復した。これらの結果は、AS1/AS2がETTゲノム領域への結合を介してそのDNAのメチル化パターンに影響を与え、ETTの遺伝子発現を負に制御することで、向軸側の細胞分化を促進する可能性を示唆する。(2)(1)の結果からas2-1 elo3-27変異体における棒状の葉の形成がett ar4変異により抑圧されるか否かを検討することとした。今年度はas2-1 elo3-27 ett-13 3重変異体を作製した。(3)elo3変異体で発現が上昇した転写因子について、as2-1 elo3-27との3重変異体を作製したところ、棒状の葉の形成が抑圧された。従ってELO3が関与する系路の下流因子の一つであると考えられた。ELO3下流候補遺伝子中で、as2-1 elo3-27二重変異体で発現がさらに低下するものは得られていないが、引き続き解析予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ELO3の直接の標的候補は得られていないが、AS2、ELO3の下流に位置すると考えられるETTはas2-1変異体でDNAのメチル化レベルが変化しており、クロマチンの構造変換を介した制御が葉の形態形成に関わる事が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
AS2とELO3が関与する系路においてETT,ARF4の影響を明らかにするため、elo3変異体、as2-1 elo3変異体でのDNAメチル化レベルを調べる。さらにas2-1 elo3-27ett arf4の表現型確認し、棒状の葉におけるETTプロモーターGUSの発現パターンを解析する。Real-time PCRによるELO3の下流因子の探索は引き続き行うが、良い候補が得られない場合は、タイリングアレイによる発現解析を行い、再検討する。
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