研究課題
本研究は、植物ホルモン・オーキシンの情報伝達に関わる新規因子SMAP1遺伝子の機能について、ユビキチンと類似したRUB/Nedd8 によるタンパク質修飾機構との関連に着目し解析することを目的とした。これまでの研究から、SMAP1はRUB/Nedd8化に関わる因子と相互作用して植物の発生や生長を制御していることが推定された。そこで、本年度は、SMAP1とRUB/Nedd8化に関わる因子との機能的な関係を調べるため、RUB/Nedd8化阻害剤MLN4924を用い、この薬剤に対する野生型シロイヌナズナとaar1 変異体の反応を比較した。まず暗所で発芽させた幼苗では、野生型において、MLN4924によって胚軸長の低下、フック形成阻害、子葉の展開が引き起こされた。aar1-1では、野生型に見られるこれらの変化に加え、子葉へのアントシアニンの蓄積が顕著にみられた。また、明所で発芽させた幼苗(野生型)では、aar1-1では、野生型より低濃度のMLN4924で根の重力屈性の阻害が起こるがわかった。これらの結果は、aar1-1が、野生型よりもMLN4924に対する感受性が低下している事を示唆するものであった。つぎに、同様の解析を、SMAP1遺伝子をRNAiで不活化した形質転換体や、aar1-1バックグラウンドにおいてSMAP1を35SCAMVプローター制御下で発現させた形質転換体を用いて行った。その結果、野生型とaar1-1のMLN4924に対する感受性違いは、SMAP1に依存している事が明らかになった。以上の解析により、SMAP1はRUB/Nedd8化に関わる因子と相互作用して植物の発生や生長を制御しているというこれまでの仮説を支持する結果を得ることができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Plant Physiology
巻: 160 ページ: 93-105
doi: 10.1104/pp.111.188409.