研究概要 |
植物の防御応答において、植物ホルモンは必須なシグナル伝達機能を担っている。本研究では、イネ幼苗において、N^6-(Δ^2-isopentenyl) adenine (iP), iP riboside (iPR) and iPR 5′-phosphates (iPRP)などのサイトカイニン(CK)分子種がイモチ病菌の感染に応答して蓄積することを見いだした。さらに、CKはサリチル酸(SA)シグナル経路に相乗的に作用し、PR遺伝子の発現誘導に関与することを明らかにした。また、イモチ病菌の菌糸、胞子および培養液から各分子種のCKが検出され、イモチ病菌自身によるCKの生合成能が認められた。本研究の結果により、イモチ病菌は自身の増殖戦略として感染部位におけるCKレベルを高めるが、一方、宿主植物(イネ)はそれを感染シグナルとして認識し、防御反応の誘導に利用している可能性が示唆された。
|