植物ホルモン・オーキシンは、植物細胞の伸長・分裂・分化・機能、様々な制御を行なっている。オーキシン分布パターンの調節機構は、植物形態形成のモルフォゲンとして唯一知られているオーキシンの機能調節に必須の分子機構だが、その詳細は未だ明らかになっていない。本研究は植物の環境刺激に応答したオーキシン分布調節機構の一つとして光屈性に着目し、その分子機構の解明を目指して研究を行った。 H22、23年度の研究により、暗条件下ユビキチン/プロテアゾーム経路を介して分解されているRPT2 タンパク質が、 phot1の活性化によって安定化していることを明らかにした。H24年度には、RPT2 C末端近傍領域がphot1による安定化に関与していることが明らかにとなった。今後、アミノ酸置換 RPT2 変異体の発現した形質転換体表現型観察により、RPT2の分解・安定化の生理学的意義を解明する予定である。また オーキシン輸送体 PIN の光屈性における機能を遺伝学的に解析し、PIN1、PIN3、PIN7 が光屈性に関与すること、主にパルス光照射によって誘導される光屈性誘導機構に関与することを明らかにした。また PIN に非依存的に光屈性を誘導する分子機構が存在すること、この分子機構による光屈性誘導には連続光照射を必要とすることを明らかにした。今後、phot シグナリングによる PIN の機能調節機構を明らかにしていく予定である。
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