カクレクマノミアロマターゼ遺伝子の転写活性調節メカニズムの解明 未成熟なカクレクマノミに、(1)コルチゾール0.7mg/gを混ぜた餌、(2)エストラジオール30μg/gを混ぜた餌、(3)何も加えない餌、を与えて10日間飼育を行い、攻撃行動の解析、血中コルチゾール濃度の測定、生殖腺と脳におけるCyp19a、Cyp19b遺伝子の発現量を評価した。何も加えない餌を与えた群は10日後には攻撃行動の有意な減少がみられ、群の状態が安定したが、コルチゾール投与群では攻撃行動に変化は認められず、さらにエストラジオール投与群では逆に攻撃行動の増加が認められた。Cyp19a、Cyp19b遺伝子の発現量は生殖腺、脳のいずれにおいても、コルチゾール投与群において軽度の上昇、エストラジオール投与群においては大幅な上昇が認められた。 カクレクマノミの社会行動に関する研究 カクレクマノミの性別・社会順位による、なわばり性攻撃行動の違いを評価したところ、自分と同じ性別・社会順位の侵入個体に対して最もセンシティブに反応した(投稿中)。 その他 平成23年3月11日の東日本大震災によって研究室が被災し、研究機器の多くが破損した上に維持していたカクレクマノミの系統をすべて失ってしまい、実験の中断を余儀なくされた。そのため、平成23年度は壊れた機器の修理、使えなくなってしまった試薬類の買い替え、新規実験魚の導入などでほとんど研究が進まなかったのが現状である。
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