研究課題
本研究は1)最近我々が新たに発見した、雄イモリ腹腺由来の雌誘引ステロイドフェロモンの生理作用の解明、2)このステロイドフェロモンと我々がすでに明らかにしたペプチドフェロモンとの相互作用の追究、3)両生類で初めての雄誘引フェロモンの解明を主な柱として、イモリ生殖行動発現に向けての雌雄のフェロモンの役割を明らかすることを目的として研究を進めてきた。すでに、我々は雄イモリ腹部肛門腺由来の雌誘引ステロイド画分の二つの成分プレグネノロンとアンドロステンダイオンとソデフリンを組み合わせるとソデフリン単独よりも強い雌誘引効果がみられること、雌誘引ステロイドが腹部肛門腺で合成されること、雌の鋤鼻嗅覚上皮で雌誘引ステロイドに対する嗅電図応答が見られること、雌輸卵管水抽出物より雄誘引活性を有する物質の単離に成功、ペプチドであることをつきとめている。本年度の当初の研究計画は、1)雌誘引ステロイドの受容部位の解析を行うこと、2)両生類で初めての雄誘引フェロモンの生理活性を明らかにすることであった。得られた成果は以下のとおりである。1)プレグネノロンやアンドロステンダイオンに対する嗅電図応答が、雌ではプロラクチンとゴナドトロピン処理により高まるが、雄では同様のホルモン処理をしても応答性が高まらないことを確認した。したがって、プレグネノロンやアンドロステンダイオン両者は協調して雌の鋤鼻嗅覚上皮細胞膜上の受容体に作用して雌を誘引する可能性を見出した。また、鋤鼻嗅覚上皮のプレグネノロンとアンドロステンダイオンに対する応答性はホルモン依存性および性依存性を有すると考えられる。また、2)雌輸卵管由来の雄誘引ペプチドに対する雄の応答性は嗅覚系を介することを嗅覚阻害実験により明らかにし、さらに性的に発達した雄嗅覚上皮において雄誘引ペプチド応答性を嗅電図応答により確認することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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